大安寺のあゆみ
沿革
当山は明治20年(1887)1月に仏事執行と布教活動のために、漁村山森丹宮氏より畑地弐反八畝拾歩、中山久蔵氏(北海道で初めて米作りを成功させた先駆者・寒地稲作の父)より畑地弐反六畝拾五歩の境内地の寄進を受けて、苫小牧中央院の千歳郡漁村出張説教所として設置された。
中央院は、明治12年4月8日に札幌中央寺の前身である曹洞宗中教院(当時曹洞宗北海道宗務事務執行)に曹洞宗説教所公称を出願し、開拓使の許可を得て、曹洞宗第二説教所として設置されたが、その2世住職として加藤金翎(きんれい)師が任にあたっていた。当時、漁村には山口県団体の移住があったが小学校がなく、移民の子弟はただぶらぶらとその日を過ごすのみであったという。 子弟の教育を憂慮している折柄、加藤金翎師は小学校を私設し、「私立洞門尋常小学校(恵庭小学校の前身)」と称し、その校主兼教員となって子弟の教育に当たった。この寺子屋が恵庭における教育施設の最初となるものである。
設立にあたっては、中山久蔵氏より明治20年にご寄付を頂いている。 これにより北海道庁では3ヵ年毎に教員免許状を与えたと伝えられる。
この金翎師の努力と功績は両大本山の認めるところとなり、賞詞状を下付するとともに、中央院に対して法地位の寺格を贈られた。
中山 久蔵氏
同21年5月より同30年5月まで私立洞門小学校に教員として奉職していた松樹良光師(松前龍雲院 花園道堅師徒弟)が同35年に正式に来村し、専ら教化に努めた結果、信徒も次第に増加し、檀徒126戸を数えるに至る。 信徒協議の上、説教所を一寺に創立し、同44年2月10日寺号公称を出願中のところ、同年9月7日許可を得て、天瑞山(てんずいざん)大安寺と公称され寺籍に編入された。 御開山は大本山永平寺64世である勅特賜性海慈船禅師(ちょくとくししょうかいじせんぜんじ) 大休悟由禅師猊下(だいきゅうごゆうぜんじげいか)で、先に同42年8月に悟由禅師より御染
筆並びに金襴(きんらん)袈裟を親授、大本山永平寺御直末の格式を附与されている。
同44年9月、本堂その他の建物を建設、同45年2月17日創立完了の旨の届出を終える。
大正12年4月に三世住職として押見龍江(おしみりょうこう)師を迎える。師は大安寺説教所を昭和5年11月に広島村に(現来広寺)、同16年4月に千歳村に(現大禅寺)を開設し開山に拝請される。師は本堂再建を志すも、先に同9年5月に大安寺と郷軍第一班が主催して郷土恵庭出身戦没者の供養のために『皇軍戦歿者招魂供養之碑』を建立する。
昭和33年大安寺附属「リズムの学園 恵庭幼稚園」を開園して、恵庭の教育施設発祥の地であるこの地に幼児教育施設を設立する。
同37年1月の三世住職の遷化により押見香積(おしみこうしゃく)師が四世に就任。同42年11月に先代からの悲願であった本堂再建を果たす。
平成16年3月の四世住職の遷化(せんげ)により押見俊哉(おしみしゅんさい)師が五世に就任。同18年9月に晋山結制・開創120周年慶讃法要・四世三回忌法要を修行する。
平成28年9月に新ご本尊として釈迦三尊像を奉迎し、大本山永平寺副貫首 南澤道人老師を開眼導師に迎え、開眼法要を厳修する。
年表
西暦
年号
主な出来事・法要
1887
明治20
中山久蔵氏が「私設簡易科洞門小学校(現恵庭小)」設立の為に寄付をする
1888
明治21
山森丹宮・中山久蔵両氏が畑地を境内地に寄進する、松樹良光師が教員となる
1909
明治42
大休悟由禅師より御染筆・金襴袈裟を親授、永平寺御直末となる
1911
明治44
寺号公称、本堂その他の建物建設
1923
大正12
3世押見龍江師就任
1930
昭和5
大安寺説教所(現北広島市・来広寺)設立
1934
昭和9
「皇軍戦歿者招魂供養之碑」建立
1941
昭和16
大安寺説教所(現千歳市大禅寺)設立
1952
昭和27
授戒会修行
1958
昭和33
大安寺附属「リズムの学園恵庭幼稚園」設立(6月)
1962
昭和37
4世押見香積師就任
1967
昭和42
本堂再建
1968
昭和43
開創80周年、本堂落慶法要
1970
昭和45
婦人会結成
1974
昭和49
4世結制、3世13回忌、徒弟出家得度式、押見正宏法戦式
1977
昭和52
梅花講設立、庫裡建設
1978
昭和53
開創90周年、庫裡落慶、再会結制、俊哉法戦式、格地昇等、幼稚園(学)に設置替え
1984
昭和59
納骨堂(常照殿)一期建立
1987
昭和62
納骨堂二期建立、山門建立
1988
昭和63
開創百周年、山門・納骨堂落慶、法脈会修行
1993
平成5
3世33回忌、清純法戦式
1997
平成9
開創110周年、3世37回忌
2000
平成12
地蔵堂建立
2004
平成16
5世押見俊哉師就任
2006
平成18
開創120周年、5世晋山結制、4世3回忌、3世寺族23回忌
2010
平成22
3世50回忌、4世7回忌、大俊出家得度式
2013
平成25
新ご本尊「釈迦三尊像」鑿(のみ)入れ式
2016
平成28
新ご本尊「釈迦三尊像」開眼法要、御開山百回忌法要、4世13回忌法要
概要
[御 本 寺]
大本山 永平寺 (福井県吉田郡永平寺町)
[開 基]
山森丹宮 (初代村議会議員)
[創立発願総代]
山森丹宮、新田時二郎、近藤春蔵、林愛助、渡辺寮蔵
[歴代住職]
開 山 勅特賜性海慈船禅師 大休悟由大和尚 (永平寺64世)
一 世 金翎宜鳳大和尚 (加藤金翎 師)
二 世 月海良光大和尚 (松樹良光 師)
三 世 呑舟龍江大和尚 (押見龍江 師)
四 世 德應香積大和尚 (押見香積 師)
五世現董 大光俊哉大和尚 (押見俊哉 師)
[歴代総代長]
初 代 山森丹宮 氏 (大正12.6.12日没)
大安寺殿釈医高徳春嶺禅定門 (初代村議会議員)
二 代 林 愛助 氏 (昭和30.9.9日没、行年79歳)
壽照院殿慧光明玄清居士
三 代 中村作蔵 氏 (昭和44.10.12日没、行年85歳)
大安院殿祖道明心大居士
(総代52年在職、うち総代長35年)
四 代 明珍八治 氏 (平成元.4.10日没、行年92歳)
徳相院誠心実成大居士
五 代 小玉運吉 氏 (平成19.3.14日没、行年88歳)
機法院徳誠知見禅居士
六 代 北村耕一 氏
七 代 遠藤昭雄 氏 [現職]
[ご本尊]
釈迦牟尼佛 (脇侍)文殊菩薩・普賢菩薩
※平成28年に新ご本尊「釈迦三尊像」を奉迎いたしました。
※釈迦三尊像 (主尊:釈迦如来、脇侍:摩訶迦葉尊者・阿難尊者)